クリニック通信

2017年12月3日熱性けいれんが起きたらどうしようーその1

こんにちは。先月は忙しすぎて投稿をさぼってしまい、既に12月。すっかり寒くなりましたね。それでも健兎は外に出たいようで窓の外をじっと見つめています。

少し早くインフルエンザの流行が始まってきたようです。B型が中心で、まだ一部の学校・幼稚園に限定されています。大規模な流行ではないので、接触歴がなく発熱後12時間以内の方への検査は、痛い割に検出率が低いので、あまりお勧め出来ません。大事なことは周りに広げないこと。インフルエンザは自然に治りますが、感染力の強さが問題です。空気感染はしませんが、咳やくしゃみで飛び散った目に見えない飛沫物を知らずに触って、その手で目や鼻を擦ると粘膜から侵入して感染します。手洗いがとても大事です。また、咳や鼻水のある方はマスクをしてが飛び散らないよう配慮することも大事です。大きな流行につながらないように、休み時間や帰宅後は毎回良く手を洗いましょうね。

咳鼻や下痢など症状が多彩で、抗インフルエンザ薬を使用してもダラダラ熱が続くB型に対し、A型は40℃前後の高熱がメインで、4日前後で潔く下がるのが特徴です。A型は他のウイルスよりも熱性けいれんを起こしやすい傾向もあります。

熱性けいれんは1~4歳の小さなお子さんの15人に1人くらいの割合で発症します。親御さんに熱性けいれんの既往があると、若干起こす頻度が高くなります。特別に脳に病気があるわけではなく、まだ脳の発達が未熟なので、急速な体温の上昇に脳の細胞が強く興奮して起こるようです。

症状は突然意識がなくなり、四肢を突っ張ります(強直間代けいれん)。発熱時に震えることは正常な反応(悪寒)でも起こります。また、発熱時は体が敏感になっているため、眠りの浅い時に一瞬ぴくっとすることも良くありますが、これはけいれんではありません。意識の有無である程度見分けることが出来ます。呼びかけたり軽くゆすると目が合うようなら心配ありません。泣いたり、寝返りをうったり、ちょっかいをかけると嫌がって払いのけたりする場合も大丈夫です。けいれんの時は目が上か左右に固定して焦点が合わなくなり、呼びかけに全く反応しなくなります。唇が青くなり、時に泡をふくこともあります。いつもと全く違う表情になるので、初めて見る方でも「これは変」と分かります。持続時間は数十秒から数分単位です。その後は眠ってしまうことが多いのですが、体の力が抜けて呼吸が穏やかになれば治まったと判断できます。その後、目が開いて視線が合い、泣いたりお話が出来るようならもう大丈夫です。

けいれんを起こした時に行うことは、呼びかけながら衣服を緩めて横向きに寝かせることだけです。横向きにすることで、呼吸をしやすくし、吐いた物が喉に詰まることを防ぐことが出来ます。歯を食いしばることもありますが、舌を噛むことはありません。以前は舌を噛まないように棒を突っ込むような指導をされた時期もありましたが、慌てている状態で無理やり行うことで逆に口の中を傷つけたり吐かせたりしてしまいます。後は観察が大事。何分続いたか、意識が本当にないのか、左右差がないか(片方だけ突っ張ってもう片方がだらんとしていないか)がポイントです。体温も大事ですがけいれん後の測定で十分です。これらは今後の診療方針に関係します。

次は熱性けいれんを起こした時の病院受診と今後の対応についてのお話ですが、最近「文章が長過ぎると誰も読んでくれないよ~」とおかみさんから言われます。歳をとると冗長になりがちなものです。少しお休みして続きに移ります。

 

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