クリニック通信
2017年12月3日熱性けいれんが起きたらどうしようーその2
こんばんは。「熱性けいれん起きたらどうしよう」の2回目です。今日は穏やかに晴れましたね。結局、健兎は辛抱強く待ったかいがあってベランダに散歩に行きました。
さて、続きです。熱性けいれんを起こした場合に救急受診や救急車を呼ぶべきか。特にすぐに止まった場合にはちょっと悩むかもしれません。医師によって若干意見は異なりますが、私はけいれんが止まったとしても救急病院の受診をお勧めします。稀に脳症や髄膜炎の初期兆候であったり、短時間で反復することがあるからです。起こした状況の確認と意識がはっきりするまでの観察が必要です。救急車を呼ぶことも構わないと思います。初めて見る「今にも死んでしまいそうに見える」状態に、落ち着いて行動することは難しいものです。慌てて車を運転することで事故を起こす危険もあります。熱性けいれんは重症ではありませんが、緊急性のある症状です。私たち小児科医は救急車で搬送された時に止まっていたとしても「良かったね」とは言いますが、「何で救急車で来たの」とは決して言いません。特に10分以上続く場合は躊躇なく救急搬送を依頼しましょう。20分以上長引く時は「重積発作」と言って緊急性が高くなります。
熱性けいれんの殆どは5分以内に治まります。例え30分以上続いても熱性けいれんである限りは後遺症を残すことはまずありません。注意すべきは脳炎・脳症・髄膜炎など別の疾患によるけいれんです。けいれんの時間が長い場合や何度も繰り返す場合、意識の回復が不充分な場合は入院をして観察する必要があります。
繰り返す頻度は50%が一生に1度きりです。残りの5割も大きくなるまでに2-3回くらい。帰ったその日に繰り返すことは殆どありません(万一起こした場合はすぐに救急受診を)。4歳を過ぎると減少し、6歳を超えると起こさなくなります。但しインフルエンザの時は年長児でも起こすことがあるので、過去に熱性けいれんを起こしたことのある方は注意して観察しましょう。
けいれんを予防する座薬もあります。発熱時と8時間後に2回使用すると48時間の予防効果があります。その後も発熱が続く場合はもう一度使用できますが、使い過ぎると眠気とふらつきが強くなって、他の神経疾患と見分けがつきにくくなってしまいます。繰り返す頻度は低く、普通の熱性けいれんの場合は医学的な適応はないと言われているので、使用するかどうかは医師とよく相談しましょう。
発熱初日に最も起こしやすいので、最初の晩は注意して観察しましょう。その後は起こしにくくなりますが、解熱後48時間以上経つまでは登園は避けてお家で看病しましょうね。