クリニック通信

2018年7月1日開業医の日曜診療は救急診療に貢献出来るか

こんにちは。7つの健診と5つの学会のため、4週間ぶりのお休みです。何だか梅雨が明けてしまいましたね。庭の日々草もインパチェンスも「早っ!まだ無理!」と俯いています。健兎は窓際で半分溶けています。それなのにリビングや脱衣室には未だに暖房器具が置かれたままです。冬までこのままかなあ、、

前回のブログ(5月30日「広報係長健兎」)の冒頭では、小児救急医学会の発表を目前に逃避行動に走っていましたが、何とか間に合いました。私の問題は内容以前に滑舌の悪さと声の低さ。あっちをつっかえ、こっちでどもり、何を言っているのか分からなくなってしまいます。何度も喋る練習をせざるを得ませんでした。発表当日は前職の救急病院スタッフも聞きに来てくれましたが、会いに行ったら第1声、「うん、大丈夫、聞き取れた!」。内容は後回しです。それから日を置かずに茨城小児アレルギー研究会で座長(司会役)をしたのですが、ただ演者を紹介するだけなのに前日から練習をして、でも、当日に少しアドリブを入れたらグダグダになってしまいました。本当に人前で喋るのは苦手です。特にアドリブはだめ。質問中に頭がこんがらがって、支離滅裂になってしまいます。特に用意もなく弁舌さわやかに理路整然と話の出来る人が本当に羨ましい。懇親会も苦手です。茨城小児科学会では新しい筑波大学小児科の教授ともお話ししましたが、「良く分からない不思議な言語を操る変な奴~」と思われたかも。もうちょっとまともに話が出来れば、といつも後で悔やみます。

前置きが長くなりましたが(いつも!)、今回小児救急医学会で発表させて頂いた内容の一部をご紹介します。以前は筑波メディカルセンター病院と言う救命救急病院小児科で働いていました。小児科の救急外来はいつも大混雑、最も多かったのは新型インフルエンザが流行った2009年11月の日曜日。240人の子供たちが受診しました。カルテは山積みになり、待ち時間は2時間を優に超え、病気の子供を前に苛立った親御さんからのクレームの声も聞こえてきます。医師も人間、疲れれ果て、それでも何とか早く診ようと焦ります。そうすると症状を見逃し、判断を誤るリスクも生じます。殆どは軽症でしたが、救急性の高い患者に対応する機能は麻痺しかけていまいした。

医療情報の氾濫で軽症でも親御さんの不安は増大しています。また、母子父子家庭や、経済的理由で共働きをする家族も増加しました。仕事を休めないため平日の診療時間内には受診出来ず、軽症と知りながら夜間や日曜に受診せざるを得ない家庭は少なくありません。医学的には救急ではありませんが社会的な救急であり、受診動機や家庭背景も考慮して受け入れるべきです。ただ、それらを全て救急外来のみで行うことが、医師を疲弊させ、本来の救急業務に支障を来す歪を生み出しています。円滑な救急診療を円滑に行うには軽症患者集中の緩和が必要です。

そんな考えから、2011年に開業した時は日曜診療を行い、仕事が終わってからでも来られるように診療受付時間を18時30分にしました。日曜診療は隔週ですが、その後に開院したつくばキッズクリニックの野末先生も参加してくれるようになり、交代で毎週行えるようになりました。

日曜診療を開始後、つくば市の小児人口は年々増加しているにも関わらず、筑波メディカルセンター病院の日曜日勤帯の救急外来受診者は2/3に減少しました。また、2010年以後、近隣に当院を含めた4つの小児科クリニックが順次開業して18時過ぎまで診療するようになりました。仕事が終わってから受診出来るようになり、18時~20時の救急患者数も500人以上減少しました。

 

開業医が日曜・時間外診療を行うには多くのハードルがあります。医師に代わりは居らず、休憩時間も満足に取れない連日の診療は精神的体力的にもハードで、診療終了後にも多くの業務をこなさなければなりません。休診日の多くは園・学校・市の集団健診や夜間の救急外来当直などの院外診療などに充てられます。一番の問題はスタッフの確保が難しいことです。少人数ではシフトは組めず、多くのスタッフは家庭を持ち日曜や子供の帰宅する18時以後の就業が困難です。ただ、これらのハードルを乗り越えても時間外に診療を行うクリニックが増えれば、救急病院医師の負担だけでなく、患者家族の不安と負担も軽減させる可能性が期待できます。

「勤務医」の過酷な労働条件と改革が叫ばれています。大きな病院の医師に比べて開業医の出来ることなんて些細なもの、とも思われています。でも、最も数の多い一次診療の患者さんを担う小児科開業医の数は遥かに少なく、高齢化しています。その業務負担は勤務医に勝るとも劣りません。小児科開業医が充実すれば小児医療全体のバランスが取れ、より良い医療が提供できるでしょう。小っちゃな小っちゃなクリニックでも、少しは救急診療に貢献できているんだと言い聞かせながら、頑張ろうと思います。今は特別と思われている日曜休日診療が将来的に当たり前になればいいですね。

 

 

 

 

 

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