クリニック通信
2012年3月5日急性胃腸炎の対応の仕方 その1
こんにちは。明日から暖かくなるとのこと、春が待ち遠しいですね。
インフルエンザはA型の流行が終息し、今はB型が流行しています。B型のほうが重い合併症は少ないのですが、お薬を飲んでも発熱がややしつこい傾向があります。充分に安静を保って無理をしないでくださいね。
ロタウイルスの胃腸炎が3月に入って流行を始めたようです。毎年冬から春にかけて流行し、クリーム色の酸っぱい臭いをした下痢が1週間前後続くのが特徴です。大きな子には比較的軽いのですが、1歳前後の赤ちゃんには稀に重い脱水や低血糖、けいれんなどの合併症を起こすので注意が必要です。また、感染力がとても強いので(平均8日間ウイルスを排泄)、充分下痢が治まるまで外出は控えましょう。一方、特別な薬や点滴をしなくても適切な水分補給と食事療法で自然に治っていきます。以下に主な胃腸炎の注意と対応法を書いてみましたので参考にして下さい。食事療法は2部構成でお伝えしますね。
【胃腸炎の注意】
小児はおなかの機能が未熟なため、すぐに吐いたり下痢をします。殆どはウイルスによる胃腸炎で、自然に治っていきます。数日であれば食欲が落ちても問題はありません。お腹に負担をかけない食材を選び、小まめに水分と塩分を補うことが大事です。
胃腸炎を起こすウイルスは何種類もありますが、特に以下の2つのウイルスが有名です。
【ロタウイルス】1~4月に流行します。1歳前後の赤ちゃんに起こしやすく、何度でも感染しますが繰り返すごとに軽くなります。クリーム色で酸っぱい臭いのする下痢が1日平均5~6回、1週間前後続きます。大変感染力が強く、稀にけいれんや腸重積の合併症があります。
【ノロウイルス】11~12月に流行します。何度でも感染し大人でも発症します。突然何度も吐き始め、半日程で自然に治まってきます。その後、腹痛や下痢、発熱(1-2日)を伴うこともありますが4-5日で軽快します。大変感染力が強く、家族中で発症する場合もあります。
【すぐに救急病院を受診すべき症状】(緊急性が高いので直接救急病院受診をお勧めします)
*けいれん発作(目の焦点が合わず、全身を強く突っ張る:ロタに合併することあり)
*全身状態不良(呼びかけても反応が鈍い。泣き方が異常に弱い:重い脱水・低血糖を疑う)
*頻回の嘔吐+不機嫌・苺ゼリー状の真っ赤な血便(腸重積合併を疑う)
*強い腹痛や発熱に加え、粘液と血液交じりの下痢を繰り返す(細菌性腸炎を疑う)
【治療】
水・塩分補給と食事療法のみで殆どが自然に治ります。下痢は悪いものを排出する自浄作用でもあるため、強い下痢止めは用いず整腸剤を内服します。吐き気止めは嘔吐が頻回な場合にのみ使用します。軽快後も腸の細胞の修復に時間がかかり、下痢が長引くこともあります。母乳以外の乳児にはミルクを分解する酵素を処方する場合もありますが、元気で食欲があれば心配ありません。
胃腸炎の多くは感染力が強く嘔吐下痢は体力を消耗します。少なくとも2日以上下痢がなく、食欲と体力が回復するまでは無理をせずに外出を控えましょう。家族にうつさないよう介護の後は手洗いを忘れずに。
【食事療法・経口補液】
少量・頻回がコツです。また脱水の治療には塩分も補うことが重要です。最初は水分と塩分を中心に、長すぎる絶食は回復が遅れるので、落ち着いてきたら早めに消化の良い食事を開始します。最初は1~2口でも構いません。少量に留め、代わりに何度も(1日5~6回)与えてみましょう。欲しがっても「油っこいもの」「香辛料」「炭酸」「冷たいもの」は控えてください。
次回に続きます。