クリニック通信
2012年3月10日急性胃腸炎の対応の仕方その2
こんにちは。今日は一段と寒いですね。でも暖かい春は間近です。今日は前回の続きをお話しします。
【量よりも回数、塩分が大事】
胃腸炎の急性期は腸の機能が弱っているので、一度に多く与えると処理しきれないためにまた吐いたりお腹を痛がることがあります。また、嘔吐・下痢では塩分も失われます。水分のみ補いっていると塩分不足で元気がなくなることがあります。最近では「経口補液療法」が確立し、痛い点滴をせずに脱水が治療できるようになりました。
【経口補液療法】
嘔吐下痢の強い間は湯冷まし1Lに対して砂糖 40g (上白糖大さじ4と1/2杯)食塩 3g (小さじ1/2杯)をよく溶かしたものを1回5ml程度から開始し10-20分毎に与えていきます。吐かなければ少しづつ量を増やしていきます。吐いた後は20分程休んでまた少量から再開しましょう。がぶ飲みは控え、1回量は30~50mlまでに留めておいた方が無難です。軽症なら市販のイオン飲料水でも結構ですが、塩分が低く糖分多すぎる傾向があるので、大塚製薬のOS1がお勧めです。
【吐き気が落ち着いてきたら】
嘔吐の多くは半日で自然に減ってきます。3時間以上吐かなくなったら食事を始めてみましょう。最初はおかゆや味噌汁、煮込みうどん、豆腐、すりおろしリンゴ、ニンジンスープなどがお勧めです。喉ごしの良いプリン、ヨーグルトでも構いません。ミルクを薄める必要はなく離乳食も大丈夫。一方、「油っこいもの」「香辛料」「炭酸」「冷たいもの」「柑橘系」「甘すぎるもの」は症状の再燃につながるので避けてください。最初は1~2口程度に留め、大丈夫なら徐々に増やしていきます。1回量は普段の半分程度に留め、代わりに回数を増やした方が(1日5-6回)腸の負担が少なく済みます。下痢中に食物を与えると、当然便の量は増えて下痢が悪化したように見えますが、結果として食事開始が早い方が回復も早くなると言われています。むしろ絶食期間が長すぎる場合の方が腸の細胞の回復が遅れるようです。悪化がなければ下の表を参考に徐々に普通のご飯に戻して行きましょう。
<<簡単な食事の作り方>>
(1)野菜スープ:じゃがいも、にんじん、トマトなどを煮くずれしない程度に煮る。
(2)人参スープ:人参をドロドロに煮て薄く塩味をつける。下痢に効果があります。
(3)すりおろしリンゴ:すりおろすだけ。下痢に効果があります。
(4)5分粥:米50g+水500ml 全粥:米100g+水500ml 少し塩みをつけて米粒がとろけるまで炊く。お米は世界が認める最も有効な胃腸炎食です。
【手洗いを充分に】
胃腸炎を起こすウイルスは感染力の強いものばかりです。ウイルスの除去に最も効果的なのは流水による手洗いです。介護の後は流水で十分に手を洗いましょう。食器や洗濯物も別にして洗った方が望ましいでしょう。
【お尻のケア】
下痢が続くとお尻が荒れてきます。下痢をするたびにお尻だけお湯で洗い、目の細かいタオルをそっと押しつけて(擦ると余計荒れます)水分を吸い取り、その後ワセリンなどの軟膏を塗って皮膚を保護しましょう。