クリニック通信

2020年7月1日9歳になりました

こんにちは。じとじと雨が続きますね。ビオラからバトンを受け継いだ日日草も「そんなにお水いらないよ!」とぼやいています。健兎は外に出られないので、ご飯ばっかり「カプカプ」食べて幾分ぽっちゃりしています。

最近は経費節減とコロナ自粛で有り余った「身体つき」を解消すべく、雨の日の合間を縫って自転車通勤をしています。陽の暮れた帰り道、田んぼ道ではこの時期大勢のユスリカが蚊柱を作っています。ユスリカは一見ちっちゃな蚊にも見えますが、血を吸うことはありません。むしろ口も消化管もないので、成虫になると数日で死んでしまいます。その短い生の間に子作りを担うのですが、悲しいことに殆どがオスです。小さくて地味なので、一匹だけではメスは振り向いてくれません。そこで蚊柱。たくさんのオスが集まってメスを呼ぼうとしています。何だか自分の学生時代と境遇が同じです。そんな中に私が自転車で突っ込むことは、盛大な合コン会場にバイクで乗りこんでテーブルをひっくり返すようなものです。「ふ、ふざけんなっ!ばかやろうっ!」「なんて不謹慎な!」「俺たちの青春返せ!」「KY、KYっ!」非難轟々です。ごめんごめん謝りながら走り過ぎています。

ついに当院も9歳です。「お兄ちゃん」として扱われるようになり、ちょっと自信もついて来る年頃です。当院は、、、自信なんかありません。コロナ禍、余りにも患者さんが少なくなってしまったので、ついに開院以来手を付けずに世界遺産と化した院長室の掃除までしてしまいました。部屋は見違えるようになりました。野末先生(つくばキッズクリニック):「え~?先生、前と何処が変わったんですか?」。黒澤先生(学園の森キッズクリニック):「いや~先生、、そのセンスはちょっと、、」。いいんです。気持ちの問題です!

9歳になってようやく分かったことは、先月のブログ「コロナが教えてくれたこと」にも書きました。コロナの受診抑制で、数に追われ、時間に追われて自分を見失っていたことに気付けたこと。もう一つは、小児科クリニックの経営状態が如何に脆弱だったのか思い知らされたことです。朝ドラに出てくるような町医者が理想でした。のんびりゆっくり、きちんと心配を聞いて、丁寧にお話して、ついでに世間話まで出来る診療ならどれ程満足できるでしょう。でも、コロナが始まって受診が半分以下になり、午後に4人しか来ない日もありました。税理士さんが言います。「お金を借りましょう。これでは持たない。」。今まで税理士さんのお話を「ふ~ん」とか「は~ん」とか聞き流していましたが、コツコツと溜めた預金が見る見るうちに減り、緊急事態宣言解除後も続く赤字を知った時は怖ろしくなりました。小児科クリニックの収入は内科の半分。いっぱい診ないと経営できない、質を高めるほど赤字になる小児科の診療報酬制度に矛盾を感じます。コロナが過ぎても、いずれ確実にやって来る少子化を前に小児科クリニックはどんどん淘汰されていくでしょう。その中に当院も入るのかもしれません。今更大きくおしゃれに建て替えることも出来ません。口コミの悪口を消すことも出来ません。今できることを地道に一生懸命やるしかありません。ただ、赤字にならない範囲の予約枠で、前より少し余裕をもって丁寧に診ようと思います。

少しだけ変えたこともあります。キャッシュレスシステムを入れたこと、6か月以上の乳幼児検診にスポットビジョンと言う眼科検診スクリーニング機器を導入したことです。今更、、ですが、患者さんに少しでも満足して頂けるよう考えて行きますね。そして何とか10歳を迎えたいものです。

最後に、、時々「クリニック通信読んでますよ」と言って下さるお母さんがいます。診察室の外で「あおき先生がさあ、、」と話しているお子さんの声が聞こえます。その声にどれだけ励まされていることか。本当に、本当に有難うございます。

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