クリニック通信
2022年1月30日コロナの検査、どうしよう、、、
こんにちは。相変わらず寒い日が続きますね。庭のガーデンシクラメンやアリッサムは白旗を挙げ、ビオラも俯いていじけています。健兎は窓越しに「外行きた~い」とアピールしますが、サッシを開けると外に出るのもつかの間、「サブッ」とすぐ戻ってきます。でも、道端ではオオイヌフグリが、桜の枝には小さいながらも蕾が、春の準備は少しづつ進んでいます。
新型コロナの第6波がやってきて、毎日数十人の方がPCR検査を求めてきます。接触発症したお子さんだけでなく、陽性のお子さんのご家族や保健所から依頼される成人の受診もあります。他の方と接しないように特設テントやお車で待機してもらいますが、診察/検査をするたびに感染防護衣とゴーグル眼鏡・フェイスガード・N95マスク・キャップ・手袋などを付け替えなければなりません。診察後は屋外の脱衣所で脱いだ防護衣などを個々にビニール袋に入れて廃棄するのですが、何故か毎回のようにマスクの紐が眼鏡やマイクに絡んでマスクと一緒にすっ飛んでいきます。マスク嫌い!眼鏡嫌い!。かじかんだ上に繰り返す洗浄に手は赤切れヒリヒリ。一人の診察に普段の3倍も4倍も時間がかかります。お待たせする時間がかかってしまい本当に申し訳ありません。朝8時40分から10-20分の昼休みを挟んで19時過ぎまで診察して、その後各方面への連絡・書類作成・カルテのチェック。21時過ぎに帰ると健兎が「ごはん遅い!」と待ち構えています。背中を撫でて機嫌を取りながら、「ウサギはうつらないから健兎も手伝ってよ~」とお願いしますが、知らんぷりされます。それに健兎にできるのは前足で掻くのと嚙むことくらい、う~ん戦力にならん。
PCRは院内で出来るのは数件程度で、多くは検査センターに依頼するのですが、以前は翌日18時頃には結果が来たのが検査件数が多すぎて今は2-3日かかります。結果報告も大変です。先週の水曜日は51件の検査結果を自宅に電話し、20人近い陽性例には保健所に電話連絡・FAX連絡・コンピューター登録をしました(今は登録方法が少し改善されました)。休診日でしたが朝から電話しまくり保健所に報告しまくり、午後は市の乳幼児集団検診・夜は救急病院の当直、そして健兎のご飯の準備だったので、さすがにクタクタでした。
あまりの数の多さに保健所が機能不全を起こし、検査キットも不足してきたため、行政も大きな方針転換を行いました。
保健所による陽性者の追跡調査は家族内を中心にし、接触した人は自主的に医療機関に相談すること。
各医療機関で実施する検査の優先順位を
1 有症状で、重症化リスクの高い人
2 医療従事者あるいは社会福祉施設従事者で濃厚接触者に該当する人
3 その他の有症状者 とすること。
陽性者の同居家族についても、有症状者を優先的に検査し、無症状者で重症化リスクが低い人は検査せずに10日間の自宅待機(1月28日から7日間に短縮)を依頼、症状が出てきたら検査すること。
確かに今の保健所と医療機関のパンク状態や、検査キットの不足を考えるとやむを得ない判断かと思います。濃厚接触でも無症状な方の場合は早すぎる検査で陰性になり、後から発症する方が何人もいました。ただ、一方、学校や園からPCR陰性を証明しないと来てはならないと言われた方がいます。PCRをしないと出社を許可出来ないと言われた方もいます。濃厚接触者された方では症状がなくとも不安が強く検査を切望される方も少なくありません。今まで積極的な検査を進められていたものが急に変わってみんな戸惑っています。
コロナは既に全ての人々の「心」感染してしまいました。不安・恐怖・焦燥・閉塞感、、私たち最前線の一次診療医は医学的な是非だけでなく、患者さんの不安や背景にある社会的環境まで配慮しなければなりません。無接触無症状の方まで検査を行う余裕はありませんが、一律に症状なし=検査不要とすることも出来かねる状況があります。
今も、接触された方からの問い合わせが後を絶ちません。私は多分、これからも、悩みながら、でも、検査キットと体力に少しでも余裕があるのなら、出来る限り不安な方の希望に沿って診療したいと思っています。