クリニック通信

2022年4月13日新型コロナ患者としての日々

こんにちは。空が青いです。外は暖かく、ビオラがどんなもんだ!と自慢げに咲き乱れ、水仙とチューリップがコラボしています。健兎の部屋はがらんとしています。前回のブログで健兎がお月様に転勤したことをご報告しました。その後何人かの方から労りのお手紙を頂きました。本当に有難うございます。健兎も喜んでいるはず。その中の一通、お空に昇っていく健兎を描いてくれたゆきのちゃん、ありがとね。

新着情報などでお伝えしたように、私自身が新型コロナウイルスに感染してしまいました。ワクチンは3回接種したし、500人以上のコロナ患者さんを診察しても一向に罹る気配がないから、大丈夫だろうと高を括っていました。甘かった。感染予防はしっかりやっていたつもりでした。でも、長引く流行に疲れていたことは確か。疲れや寝不足は免疫力を下げるし、集中力を欠いたことで、どこかで予防手順に抜けが生じたのかもしれません。医者の不養生です。皆さんには本当にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

4月4日夜に事務の1人が発熱し感染が判明。私も含めた他の全員はPCR陰性でした。交代休憩を共にした1名を除き濃厚接触には該当せず、医療者には検査陰性を確認しつつ診療を継続する責務があったので、翌日午後から診療を再開しました。6日の定期休診日を挟み、7日21時過ぎ、定時検温で37.4℃、再検して37.7℃。PCRは陽性になっていました。他に症状は?倦怠感は開院以来ずっと。特にこの数週間は疲弊していたので区別がつきません。外来で喋り続けるため、咽頭違和感や声枯れも普段から。心当たりは、、毎日10人以上のコロナ患者さんを診察していたのであり過ぎです。幸い患者さんで濃厚接触者に該当する方はいませんでしたが、医師は私一人しかいないので、10日間クリニックを閉鎖せざるを得なくなりました。

夜中に1人、大慌てで保健所に登録して、スタッフに知らせ、ホームページや予約システムのお知らせで告知して、翌日から10日分の新規予約枠を閉じて、一通り終わった時は午前2時を回っていました。大変なのはむしろ翌8日からです。10日間で既に入っていた100人以上の予約変更をしなければなりません。私はクリニックには行けないので、自宅から電話で指示していただけに過ぎません。本当に大変だったのはスタッフです。幸い残りのスタッフは全員PCR陰性でしたが、当日の問い合わせの電話対応、予約変更依頼の電話に夜まで追われました。予約変更には、色々予定が詰まっていたでしょうに多くの方が応じてくださいました。労りの言葉をかけて下さった方もいます。当然、急な変更に応じきれない方もいました。学園の森キッズクリニックの黒澤先生にお願いしたところ、診療で忙しいのに快く引き受けて下さいました。この場を借りて予約変更にご協力頂いた方たち、黒澤先生。本当に有難うございます。そしてごめんなさい。

8日になって鼻汁が出始め若干倦怠感も増しましたが、夜に 発熱することはありませんでした。11日には自覚症状も軽減しました。オミクロン株感染者は殆どの方が軽症で、熱は最初の1‐2日は高熱が出て頭痛や関節痛、吐き気に悩まされる方もいますが、概ね3日以内に下がり、通常の風邪と同じ経過で済みます。ワクチンも軽症化に貢献しています。でも、隔離期間は外出できません。穏やかに晴れた庭をぼ~っと眺めるだけです。保存できる料理や食材の買い置きを残しておかみさんとは急遽別居状態になり、健兎も今はいません。がらんとした部屋で1人ポツンとしていると経営不安とか風評被害とか嫌あな考えがふつふつ湧いてきます。10日間の隔離は精神衛生上決して良くありません。それでも私はまだ良い方です。小さなお子さんのいるご家庭では、介護のために実質的な隔離は不可能です。次々と発症する家族を目の当たりにする恐怖や、その度にさらに延長される家族内濃厚接触者の隔離期間にストレスは増す一方でしょう。コロナに限らず、長患いで長期に入院される方の心のつらさは計り知れません。

保健所からは登録直後に「MyHER-SYS」と言う健康状態入力フォームの案内が当日ショートメールで送られ、1日2回、健康状態を入力報告しました。12日(発症5日目)に直接電話連絡が来ました。やや遅めでしたがとても優しい声の手寧な対応でした。つくば市だけで毎日100人以上の陽性登録があり、その一人一人の連絡、多くの相談事への対応を考えると、遅くなるのは無理もないことです。彼らは私たち以上に疲れて果てています。本当にご苦労様です。

オミクロン株はBA1→BA2へと変異株が置き換わり、より感染性の高いXEの報告もあります。矢継ぎ早の更新はスマホの機種変更のようです。これだけ広まると接触しないことの方が難しくなってきます。相次ぐ学級/学年閉鎖でまともに学校生活を送れない子どもたちの心は蝕まれています。休園休職を余儀なくされた保護者の精神的経済的な負担は増すばかりです。一方、コロナは感染力が増す反面、重症化率は低下しています。生体内でしか生存できないウイルスは宿主が命を落としてしまうと共倒れになってしまいます。流行を続けるウイルスの進化の方向としては、種の保存の法則に則って宿主と共存できるように軽症化する傾向があります。強毒化することが絶対ないとは言い切れませんが、少なくとも今のオミクロンはインフルエンザより軽い印象があります。ワクチンは周りの方への波及の防止と重症化予防を期待して、重い基礎疾患を持つ方を中心に積極的に接種する代わりに、少しでも多くの人が普通の生活が送れるように閉鎖/隔離の基準や期間を緩和する必要がありそうです。

小児科医は結束が固く、多くの先生から励ましと労りのメールを頂きました。「神様からもらった休暇と思って、この機会に少し休んだほうがいいよ」。思えば開業以来、いや、医師になって以来10日も休むことなんてありませんでした。これからの診療の仕方とかゆっくり考えてみます。そして、18日月曜からクリニックは診療を再開します。また、コロナとの闘いの始まりです。ご迷惑をおかけしてしまいましたが、また、宜しくお願いしますね。

     

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