クリニック通信

2012年9月22日スキンケアは赤ちゃんから

こんにちは。ようやく秋に入って一気に涼しくなってきましたね。喘息の好発期に加え、本来冬に流行るはずのRSウイルスが今流行しています。赤ちゃんに気管支炎を起こしやすく、特に6か月未満の場合は重症化しやすいので、激しい咳に加えて夜中にぜーぜーして眠れない場合は病院を受診しましょう。

今年参加してきた日本アレルギー学会、日本小児皮膚科学会、日本小児アレルギー学会で共通した話題の一つに「経皮感作アレルギー」があります。荒れた皮膚からはアレルギー原因物質(アレルゲン)が入りこみやすくなって、アレルギーを獲得しやすくなるというものです。以前から言われていたのですが、加水分解小麦を原材料とした化粧品による小麦アレルギーが問題になって注目されるようになりました。アトピー性皮膚炎についても皮膚のバリアー機能が弱い体質のために皮膚炎を繰り返し、結果的にアレルゲンの侵入が容易になってアレルギー体質を獲得すると言う意見が増えてきました。食物アレルギーも普段の生活の中で皮膚についた食物にアレルギーを獲得したために、初めて摂取したにも関わらずアレルギー反応を引き起こすのではないかと言われています。もちろん荒れた肌の人全てがアトピー性皮膚炎や食物アレルギーになるわけではありません。もともとアレルギーを獲得しやすい素因を生まれつき持った人が、アレルゲンに常に曝されることで初めてアレルギー疾患を引き起こします。アレルギー素因を持っていても、アレルゲンに曝されにくい状態にしてあげればアレルギー疾患の発症を予防出来るとも言えます。

一生のうちで一番肌が薄く弱いのが赤ちゃんです。見た目に反して水分を保持する機能が弱く、乾燥しやすいためにバリア機能が未熟です。その結果、皮膚に炎症を起こしやすくアレルゲンも侵入しやすくなります。生まれてすぐから保湿剤によるスキンケアを充分に行えば湿疹になりにくく、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの発症率を減らすことが出来るという報告もあります。赤ちゃんには早いうちから保湿剤によるスキンケアをお勧めします。保湿剤は市販の赤ちゃん用のものも広く出回っています。朝と夜、特に入浴後すぐに行うことが大事で、薄く広げすぎずにたっぷり使うことがコツです。特に顔や耳の裏は弱い部分なので、充分にケアをしてあげましょう。洗う時は泡立てた石鹸を目の粗いタオルではなく、直接手で優しく洗ってあげてください。既に湿疹がある場合は入浴後にとても痒がるので、お風呂はぬるめにした方が良いでしょう。一方、石鹸は皮膚の汚れを落とす反面バリアに必要な皮膚の脂分も落としてしまうので、使用は1日1回程度に留めた方が無難です。

優しいスキンケアはアレルギー疾患の予防だけでなく、あかちゃんとの心をつなげる場でもあります。忙しい中大変だと思いますが、お母さん自身がリラックスした気持ちでゆっくりスキンシップをはかってくださいね。

 

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