クリニック通信
2023年8月22日夏休みの宿題
こんにちは。盛りは過ぎたもののまだまだ暑いですね。玄関先のトレニアもヘロヘロになってしだれています。
私の夏休みも残すところ2日を切りました。既に気分はサザエさん。は~とかふ~とか溜息をついています。とても忙しかったので書類仕事は夏休みにやる予定でしたが、積み残したままです。夏休みの宿題のように、、。最近は宿題のない学校もあるようですが、長大な夏休みを前にするとどんな分量の宿題もいつでも出来る気分になってしまいます。外来で子どもたちに尋ねると、意外と「うん、やってる~」と言う答えが返ってきます。う~んすごいなぁ。私は夏休みの宿題はぎりぎり組でした。毎年8月31日の夜は泣きながら宿題の工作を作っていました。絵日記は想像力が養われます。記憶をたどり時空を超えて描きました。「家族で山に遊びに行きました。天気が良くてとてもきれいでした。お父さんと雪合戦をしました。」ん?夏に雪の積もっている山?エベレスト?すごいところに行ってきたんだなあ。優しかった担任の先生はきっと好意的解釈で受け取ってくれたことでしょう。
中3の夏休み。あのロボットを作ろうと思い立ってしまいました。「スターウォーズのR2D2」。今の子どもたちはもう知らない映画です。お父さんお母さんは名前くらい?私にとっては中3です。訳の分からないことに思いつめ、どうでもいいことに熱中する年齢です。今ではCG技術で当たり前のシーンも、当時は画期的でした。パパパパーン、と言う盛大な交響曲に乗ってスクリーンいっぱいを埋め尽くす超巨大宇宙戦艦にすっかり心を奪われてしまいました。その中に登場するのがR2D2です。これを作って提出すれば、きっとみんなビックリして、女の子にももてるはず。どうもいつも動機が微妙にずれますが、煩悩に勝るエネルギーはありません。高校受験前の貴重な夏をかなぐり捨てて製作に入りました。
「インターネット」の言葉さえない時代です。資料は映画のパンフレットの数枚の写真のみ。それだけを元に作り始めました。最初は実物大とも思いましたが、とても材料が手に入りません、1/3サイズです。お歳暮でもらったおせんべいの入っていた大きな丸い缶を胴体に、アルミのボウルを頭に被せて、木とバルサで作った足を取り付けました。リモコンで動かせるようにプラモデルの戦車で使ったモーターとキャタピラを履かせて、頭部は光るように豆電球をつけて、音が出るように小型のラジオ(当時は、USBスピーカーもデジタルプレイヤーもありません)を胴体内に設置して、、朝は早くからご飯もそこそこに、遊びにも行かず、外にも出ず、母の叱る声を背に勉強さえせずに没頭しました。人生で一番、自分の意思で1つのことに熱中した時だったかもしれません。そして出来上がったのが下の写真です。提出したらみんなに「お~!」と言われましたが、女の子にもてることはありませんでした。ついでに受験は落ちました。
あれから35年。あちこち剥がれたり壊れてりしましたが、捨てる気にはなれず、今でも私の部屋に置いてあります。「何でもいいから一つのことに熱中出来ることが一番幸せなんだよ。今の君にはそれが出来ているのかい?」時々ロボットがそんなメッセージを発しているようです。