クリニック通信
2012年7月1日ようやく1歳になりました。
梅雨も半ば。今朝も曇り空ですね。いつもの休日と同じように外出許可を主張するウサのためにサークルの扉を開け、お風呂場を洗い、洗濯物を干し、遅めの朝ご飯を終えてコーヒーを飲みながら「1年経ったなあ」とぼんやりつぶやいています。
昨年7月1日に開業した当院も1歳を迎えました。私もスタッフも慣れなくて来院して頂いた多くの患者さんにご迷惑をかけ通しでした。私の滑舌が悪く低音で早口のしゃべり方に戸惑った方も少なくないと思います。充分なお話が出来ず、物足りなさを感じられた方もいると思います。この場を借りて改めてお詫び申し上げます。本当にごめんなさい。
開業するまでの20年以上を小児科医として、筑波大学附属病院や筑波メディカルセンター病院などに勤務し、多くのことを経験し学んできたつもりでしたが、開業してまだまだ半人前であることを痛感しました。専門・救急医療を中心とした高次医療機関としての考え方と、予防・地域医療を中心とした1次医療機関としての考え方の違いの大きさに驚きました。組織に守られ仲間に助けてもらえた勤務医に比べ、全てを1人で対処し責任を負わねばならない開業医の怖さに震えました。
今の一番の悩みは1人の患者さんに充分な時間がかけられないことです。医師が1人で出来る診療には限界があり、多くの方を診察するとその分1人に費やす時間を削らねばなりません。1人に時間をかけ過ぎれば他の患者さんを長い間待たせることになります。今は診療の質を保つために予約を多少制限させて頂いていますが、診察を希望される患者さんを受け入れられないことにも強い抵抗感があります。今以上に診療時間を延長すると集中力の低下から判断ミスの恐れも生じるし、夜遅くまで居てくれる家庭のあるスタッフに更に付き合わせることは出来ません。開業する全ての医師が持つジレンマです。
殆ど毎日夢の中でも診療を続け(昨夜も夢に出てきました)、様々な思いで眠れなくなることも度々あった1年でした。もっともっと勉強して経験して、医師としても人としても成長しなければなりません。幸いスタッフは優秀な方たちばかりなので、サポートしてもらいつつ、よちよち歩きながら少しずつ皆さんの満足が得られるような診療ができるようになって行きたいと思います。これからもよろしくお願いしますね。(青木健)