クリニック通信

2024年6月30日新しいワクチンのお話

こんにちは。むし暑いですね。梅雨に入ってもやたら暑いし一旦晴れるとカンカン照り。まさかもう梅雨明け?サンパチェンスとポーチュラカが焦り始め、マリーゴールドは既に白旗を振っています。この時期は休診日も土日も集団健診や学会・委員会で埋まりまくり、夏風邪も流行りまくり、院長は既に夏バテています。夏休みまだ~?あといくつ寝るとお正月~?そんなやる気のない院長をフォローするために、クリニックにはコロナ中に避難していた昔の仲間たちがこっそり進出しています。

玄関前ではステゴザウルスを雑草を食べ、特別診察室のホールではにはうさぎ達が牛くんに跨ってロデオをしています。

 

診察室では大きなテントウムシくんが見下ろし、ステゴザウルスのこどもを抱っこしたうさぎがベッドに座っています。このうさぎさん、本来は音に反応して動くはずなのですが、この子に限っては気が向いた時にしか動きません。もともとうさぎは人に媚びない気ままな性格です。時々思いだしたように動いては子どもたちを驚かせています。「動いたあっ!」「えっ?見間違いでしょ」「ほら、また動いたあっ‼」子どもたちが驚くとちょっと得意そうです。

   

いつもながら長い前置きです。今日はワクチンのお話を少し。今年度から5種混合(ヒブ・ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ)が始まりました。4種混合からヒブを加えた5種混合に変わったことで、痛いワクチンの数が一つ減りました。海外では6種混合(5種混合+B型肝炎)やMMRV(麻疹・風疹・おたふく・水痘)も行われています。日本でも早く採用されればいいのに。肺炎球菌ワクチンも対応株が13価(13種類の細菌株)から15価に増え、より予防効果が高まりました。このあたりは3月のブログでもご紹介しましたね。

子宮頸がんワクチン(パピローマウイルスワクチン)も今年度から新しくなりました。パピローマウイルスは性行為感染症ですが、生涯で50~80%の方が感染し一旦感染すると体内に居座り続け、20~30代の女性に子宮頸がんを起こしやすくなるウイルスです。子宮頸がんは毎年1万人の女性が発症しています。3000人近い方が亡くなり、治療でお子さんを産みにくい身体になってしまっています。癌を起こしやすいウイルス株7種類に対応していたものが9種類まで防ぐことが出来る新しいワクチンが開発され、癌を誘発する確率が1/10まで減らせるようになりました。パピローマウイルスは男の子にも感染し、尖圭コンジローマと言うおちんちんや肛門が悲惨な状態になってしまう病気や肛門癌、中咽頭癌などを発症することがあります。新しいワクチンはそれらも予防可能です。何より男女両方が予防して初めてウイルス感染は減らせるものです。風疹がそうでした。今は女の子しか定期接種対象になっていないのですが、男女ともに定期接種になる事を望みます。

そしてRSワクチン。小さな赤ちゃんにとってインフルエンザやコロナよりも怖いのがRSウイルスです。詳細は2022年9月ブログ「赤ちゃんには注意、RSウイルス」をお読みください。ご高齢の方にも注意が必要です。乳児期早期の赤ちゃん(特に生後6か月未満)では重症の細気管支炎を起こすことがあるため、世界中でワクチン開発が試みられてきましたが、効果が弱かったり副作用が強かったりでなかなかうまく行きませんでした。代わりにシナジスと言う免疫物質を毎月定期的に注射する方法が開発されましたが、非常に高額で保健適応は早産や、生まれつき重症の病気を持った一部の方に限られました。ベイフォータスと言う1回の注射で済む免疫物質も開発されましたが数10万円です。現実的な予防薬ではありませんでした。しかし、今年ようやく有効かつ副作用の少ないRSワクチン(アブリスボ)が開発されたのです。接種対象は赤ちゃんではなく24週~36週の妊婦さんです。ワクチンを接種したお母さんの体内で出来た免疫物質を赤ちゃんに移行させる方法です。詳しくは小児科学会HPをお読みください。希望される方は通院している産科の先生にご相談してみると良いでしょう。RSウイルス母子免疫ワクチンに関する考え方|公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY (jpeds.or.jp)

最後にインフルエンザ経鼻生ワクチン(フルミスト)です。従来のインフルエンザワクチンは不活化ワクチンと言って注射するものでした。生ワクチンは毒性を弱めたインフルエンザウイルスを直接点鼻するものです。2003年にアメリカで2011年にヨーロッパで承認され、日本でもようやく今年から認可されました。効果は注射と同程度ですが2~7歳では特に有効と言われています。メリットは効果の持続が長いこと。「痛くないこと」「腫れないこと」です。デメリットは軽い感冒症状や発熱を伴う可能性があること、鼻汁鼻閉が強いと効きにくくなることです。対象は2歳以上49歳以下で接種費用は9000円前後のようです。従来ワクチンより高いですが、過去に感染既往やワクチン既往のある方は1回のみで済みます。あとは市の助成があるかどうか。詳細が分かったら後日改めてお伝えしますね。

あ~、今回も長かった。全然「少し」じゃないじゃん!年を取ると話が長くなるもんですねえ、、

 

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