クリニック通信
2024年12月25日かぜ薬飲まなくても治るよ
こんにちは。年末になって一気に寒くなりましたね。植えたばっかりのビオラ達が「もうだめ~」と地面にへたりこんでいます。ようやくクリニックのイルミネーションが完成しましたが、クリスマス終わってしまいました。悔しいので年明けまで続けます。
世間は年末年始9連休。インフルエンザの流行も始まってしまいました。マイコプラズマは少し落ち着いてきたようです。今年はスタッフの調整がつかなくて昨年のような年末診療が出来ず申し訳ありません。代わりに29日午前は筑波メディカルセンター病院で小児科救急外来をします。お熱が続いて心配な方は受診してみて下さいね。
年末年始中にかぜ薬が足りなくなると心配される方もいると思います。実はかぜ薬はなくてもかぜは自然に治っていきますよ。かぜの殆どを占めるウイルスはかぜ薬を早めに飲んでも症状の進行を抑えられませんが、たとえ飲まなくてもアデノもコロナも自然に熱は下がり、その時期に大きな差はありません。インフルエンザは抗ウイルス薬で1~2日早めに熱を下げる効果は期待できるものの、飲まなくても4日前後で自然に治っていきます。マイコプラズマや溶連菌などかぜの1割程度を占める細菌感染症は抗生剤があった方が早く治りますが、自分の持つ免疫の力だけでも大半は治すことが出来ます。
かぜ薬はあくまで対症療法、咳や鼻をほんの少し減らすだけです。ばい菌の勢いの強いうちは飲んでもそれ程効いた感じがありませんが、1~2週を過ぎる頃から少しづつ軽くなっていきます。咳や鼻は本来ばい菌を追い出す体の防御反応です。その邪魔になってしまうかもしれないため、咳止めの使用に批判的な小児科医は少なくありません。だからかぜ薬は30年以上新しい薬が開発されていないのです。咳や鼻が残っていても元気で眠れるようならそれ以上かぜ薬を飲む必要はありません。
それでは家で何が出来るのでしょうか。当たり前のことですが、安静と充分な加湿につきます。昨夜熱があったのに朝下がったからと、チケットがもったいないと外出してしまうとこじらせるだけでなく周りにうつしてしまいます。疲労・睡眠不足・寒さは免疫機能を低下させます。乾燥した空気はウイルスを増やし、のどや鼻の粘膜を荒らし、鼻水はねばねばして詰まりやすくなり、溜まった鼻水が垂れ込んで咳が増えてしまいます。お風呂に入ると咳や鼻が少しすっきりする気はしませんか?あの湿度が大事。枕元に加湿器を置いて一晩中つけておきましょう。水分をこまめに取れば痰も鼻水も柔らかくなって出しやすくなります。1歳前後の赤ちゃんであれば、入り口まで溜まった鼻水を吸い出すだけでも楽になります。この年齢で自動鼻吸い器は必須アイテムですよ。海外ではかぜ薬は殆ど使われません。代わりに重宝されているのがはちみつです。小さじ一杯を暖かいお湯に溶いてゆっくり飲ませるとのどの痛みや咳を抑えることが出来ます。その効果はかぜ薬同等と言う研究報告もあります。但し1歳前の赤ちゃんには禁忌です(ボツリヌス菌感染)。唾液は味方。のどの粘膜保護や抗菌効果もあります。のど飴を舐めてみてもいいですね。
筑波メディカルセンター病院は年末年始も24時間空いていますが、検査処置は緊急性の高い場合に限られます。以下に受診の目安を列挙します。
【救急病院受診の目安】
・38度以上の発熱が毎晩4日以上連続(最初が高熱でも3日目にピークが下がってくるなら大丈夫)
・生後2か月未満の高熱
・胸からヒーヒーと高い音が聞こえて喉元が息を吸う度に大きく凹む
・唇の色が紫色でぐったり(手足の一時的な紫は大丈夫)
・刺激しても反応なく焦点が合わない。うわごとや異常な行動が1時間以上続く
・黄色い液を頻回に吐いて水分が全く取れない(吐いても10ml位のイオン飲料水を何度も取らせましょう。それが出来るなら大丈夫)
・1歳前後で頻回嘔吐+不機嫌啼泣の持続+(便にイチゴゼリー様の血が混じる)
・右下腹部の痛みが持続し段々と増強する
・どうしても心配
【大丈夫そうな症状】
・熱は高いけど3日以内で下がると起きて遊びだす
・日中は咳き込むけど夜は眠れる。夜中に2~3回起きるけど起きたら元気
・咳鼻が長引いているけど元気はあって深夜に起きるのは2~3回以内
・下痢が長引いているけど機嫌は悪くなくミルクや食事がとれる
・吐いたけど2~3回程度で少しづつ水分摂取が出来る。吐いた後は元気
・熱の上がり始めに一時的にぶるぶる震えたけど呼ぶと視点が合う
・ぶつぶつが出てきたけど熱もなく元気
開いている病院が少ないと心配でしょうが、本当にお薬が必要なのか改めて見直す機会とも考えてみましょうね。