クリニック通信

2012年12月2日ノロウイルスにご注意を

こんにちは。寒いですねえ、嫌ですねえ。でも花壇のビオラは寒さなど気にしないかのように明るい色を放っています。頭が下がる思いです。

昨夜は筑波メディカルセンター病院で22時まで夜間小児科救急外来をしていましたが、来院した方の多くは嘔吐が主訴でした。毎年11月の下旬からノロウイルスが流行を始めます。胃腸炎を起こすウイルスの代表には「ノロ」と「ロタ」があり、名前も似ているので紛らわしいのですが、「ロタ」は3月から4月にかけて流行し、主に赤ちゃんに白色酸臭の激しい下痢を1週間以上起こすのに対し、「ノロ」は11月から12月にかけて流行し、年齢を問わずに罹り、頻回の嘔吐を特徴とします。ノロウイルスに罹ると突然強い吐き気を訴えて吐き始めます。嘔吐は頻回ですが、多くの方は6時間から半日以内には自然に落ち着いてきます。その後から腹痛や下痢、発熱を来す場合もありますが、数日で軽快します。比較的短期間で軽快するため、「ロタ」に比べ嘔吐が頻回な割には重症な脱水や合併症が少ない傾向があります。特効薬はなく、対症的に吐き気止めを使用し自然軽快を待ちますが、その間の水分補給の仕方が重要です。最近は点滴に代わる「経口補液療法」が確立しています。腸の動きが低下しているため一度に多く飲むと胃に停滞してまた吐いてしまいます。塩分を含んだイオン飲料水(OS1がお勧め)を1回10ml前後(小さじスプーン1~2杯)に留めて5-10分毎に飲ませて下さい。吐いても少し休んだらまた再開しましょう。そうすれば少しづつでも腸に流れて吸収され、脱水の重症化を防ぐことができます。嘔吐が治まって3時間ほどしたら食事を始めますが、まだ腸の動きは落ちているので、やはり1口か2口程度に留めて徐々に増やして行きましょう。量より回数を増やした方が負担がありません。もともと栄養の蓄積はあるので無理せずにゆっくり進めることが大事です。感染力は大変強く、1人が罹ると家族全員が発症する場合もあります。主に経口感染で吐いた物や下痢便にウイルスがたくさんいて、手についたものが少しでも口から入るとうつります。介護の後は流水で良く手を洗い、食器や吐いた物は別に洗った方が良いでしょう(85℃1分以上の熱水消毒か衣服や床は200ppmくらいに薄めた市販のハイターなどの次亜塩素酸ナトリウムで消毒後に洗う)。症状が完全に治まるまでは登園登校は控えて下さいね。

記事検索

カテゴリー一覧

年別一覧

ご予約方法はこちら

クリニック通信

リンク

診療日カレンダー