クリニック通信

2014年11月3日任意接種ワクチンの大切さ-第1回(B型肝炎)

こんばんは。夜更かし好きなウサはケージでタンポポの葉っぱを食べています。

先日お隣のつくばみらい市の6か月検診に行ってきましたが、殆どの方が任意接種であるB型肝炎とロタウイルスのワクチンを済ませていました。この地域の保健師さんとクリニックの先生方の頑張りに感心しました。つくば市でも最近は2か月のワクチンデビューにB型肝炎とロタワクチンを希望される方が増えてきました。

もともと、「任意接種ワクチン」と言うのは「受けたければ受けてもいいよ」のワクチンではなく「受けなければいけないのだけど、公費負担をしてもらえない」ワクチンです。水痘はようやく公費負担してもらえる「定期接種」に仲間入りが出来ましたが、日本小児科学会は未だ任意接種扱いであるB型肝炎・ロタ・おたふくワクチンも定期接種に入れて貰えるよう毎年厚労省にお願いしています。任意接種ワクチンの大切さについて何回かに分けてお話ししたいと思います。

今回はB型肝炎ワクチンのお話です。B型肝炎ワクチンは日本でこそまだ「任意接種」ですが、実は90%以上の国が「定期接種」にしています。WHOはB型肝炎ワクチンを定期接種とするように指示しています。B型肝炎ウイルスは主に血液で感染するため、B型肝炎ウイルスに感染したお母さんから生まれた赤ちゃん(垂直感染)には速やかにガンマグロブリン注射とワクチン接種が行われています。お子さんのB型肝炎ウイルス感染の多くは母子垂直感染ですが、ご家族を含め周りの方から感染したり(水平感染)、感染経路が不明な方もいます。血液だけでなく汗や唾液、尿にも感染力があるためです。触っただけでうつることはありませんが、荒れた肌や傷口に体液が触れるとうつる可能性があります。厄介なのは感染してもすぐに症状が出ないことと、ウイルスが体に居座ることです。感染すると30%の人が3か月程して「急性肝炎」を発症し、稀に命に係わる重症化(劇症肝炎)することもあります。急性感染を発症しなかった方も一部は体内にウイルスが残り続けます(持続感染)。症状がないので感染していることに気づかず、周りの人に感染させる危険があります。そして、持続感染した方の10-20%くらいの人が成人になる頃に「慢性肝炎」を発症します。肝炎は発症しても軽症のうちは症状が出ないので、検診で初めて気づかれることもあります。「慢性肝炎」になった人の10-15%が後に肝硬変や肝がんを合併してしまいます。全国には130万人の「B型肝炎感染者」がいて、毎年3000人以上の方が肝がんなどで亡くなっているそうです。3歳未満のお子さんが感染すると「持続感染」になりやすい傾向があります。一方、ワクチンによる免疫獲得率は大人よりも赤ちゃんの方が遥かに高いことも指摘されています。ワクチンは1か月空けて2回、その後4-5か月空けて3回目を接種します。生後2か月になったらヒブや肺炎球菌と一緒に接種することをお勧めしますね。

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