クリニック通信

2015年4月26日保育園デビューの洗礼

こんにちは。今日は初夏の陽気でしたね。我が家の花壇を埋め尽くした雑草軍団「ホトケノザ」もようやく花を咲き終えました。「お役目ご苦労様」の言葉をかけながら抜かせてもらいましたが、もともと咲いていたビオラ達がすっかりいじけていました。ついでに急に住処を奪われたダンゴムシの住民たちに散々文句を言われました。なかなか自然に人間が介入するのは難しいようです。

4月に保育園デビューしたお子さんも多いかと思います。「よし、仕事に励もう!」と思った矢先に保育園から「お子さんがお熱を、、」と呼び出された方も少なくないでしょう。そして、ようやく熱が下がったので行かせたところ、またもや「お子さんがお熱を、、」の電話、、。こんなに繰り返して熱を出して、何か特別な病気になったのではないかと心配される保護者の方もいらっしゃると思います。

保育園に行き始めると例外なくお子さんは風邪をひきまくります。デビュー年齢が低年齢化するにつれてより目立つようになりました。もともと乳幼児は免疫の力も弱く、ウイルスに対する抗体をほとんど持っていません。集団生活はウイルス・細菌のバーゲンセール、行くと必ず何かしらもらって来ます。風邪をひくと鼻や喉の粘膜が荒れて、新しいばい菌が侵入しやすくなります。更に体力が低下することで免疫の力も落ちています。そのため、1回風邪をひくと次の風邪に罹りやすくなります。熱が下がったので月曜から登園を始めたら、早速新しい風邪をもらって週末にまた熱を出すことの繰り返しになります。

別に免疫の低下する病気や悪い病気になったわけではありません。免疫不全症は先天的な疾患なので、生まれてすぐから髄膜炎など重症の病気を何度も繰り返します。悪い病気ならいつまでも熱が続き、熱以外の重い症状も加わって来ます。風邪として一般的な期間である3-4日で熱が下がって元気になり、数日を経てから発熱するのであれば新しい風邪をひいたと考えた方が良いでしょう。しかし、焦って熱が下がってすぐに、体力の回復が不十分な状態で登園させてしまうと、より悪循環に陥ります。その結果、本当に肺炎などの合併症を併発して入院することもあります。熱は朝に一旦下がって、夜に再び上がります。前の晩に熱があったのに翌朝熱がないからと登園させると悪化させてしまうかもしれません。風邪は感染症なので他のお子さんに広げてしまう可能性もあります。

残念ながら、保育士さんがどんなに気を付けていてもこれを防ぐことは出来ません。風邪を予防するお薬もありません。感染症の治療は水分補給と安静による体力と免疫の回復が基本であり、予防は新たな感染症との接触を出来る限り控えることに尽きます。どんなお薬も風邪の咳をぴったり治すことは出来ませんが、安静と隔離が十分に出来れば薬を飲まなくても自然に治ります。一方、お仕事や家庭の事情もあると思います。始めたばかりのお仕事中なのに何度も「お休みさせてください」は非常に言いづらいと思います。家計を支えることも大事です。しかし、やはり小児科医として子供たちの健康を守る立場としては、熱が下がっても少なくとも2日以上、加えて夜間もぐっすり眠れて、いつもの食欲と笑顔と元気を確認できるまではお家で大人しくしていましょうとしか言えません。

ただ、この状態はいつまでも続くわけではありません。風邪をひくたびにそのばい菌に対する免疫が出来て行きます。繰り返していくうちに多くのばい菌に対する免疫が出来、成長に伴い体力もついて、より免疫力が高まります。風邪をひく回数は歳と共に減っていき、小学校に入る頃には驚くほど風邪をひかなくなります。

今は大変で心配と思いますが、それが良い思い出になる日がそれほど遠くない時期に待っています。気持ちを切り替えて、風邪をひいたら「また一つ強くなった」と思うようにしましょう。そして風邪が風邪で済むように無理をさせないでくださいね。

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